久保建英が「FC東京の顔」になってはダメだ。福田正博がクギを刺す (3ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 また、年齢に関係なく、実力がある選手を起用することは当たり前のことなのだが、やみくもに11人の中に入れればいいというものではない。選手それぞれの特長や個性があるのだから、それを伸ばすためにも、環境が大切になる。久保のような10代の若手がさらに成長するために理想的な環境は、実績のあるベテラン選手のそばで経験を積むことだ。

 たとえば、メッシが17歳でバルセロナのトップチームにデビューした時、もちろん当時から彼の才能はずば抜けていたが、チームメイトには全盛期のロナウジーニョやデコといったスター選手たちがいて、彼らがメッシにとってプレーしやすい環境をつくっていた。そこで、メッシは無用なプレッシャーを感じることなく、のびのびとプレーして成長していったことを忘れてはいけない。

 バルセロナと比べるのは酷というのは十分理解している。しかし、中村俊輔(ジュビロ磐田)のような、ヨーロッパで長くプレーし、チャンピオンズリーグも経験している選手がチームメイトにいればどうだろうか。また、川崎の中村憲剛、ガンバ大阪の遠藤保仁のように、W杯を経験し、実績あるベテランが同じチームにいれば、メディア対応も含めてさまざまな部分で久保の"防波堤"にもなってくれるのではないだろうか。

 FC東京にも日本代表でプレーした経験がある選手は揃っているが、先に挙げた選手たちに比べると実績は少し見劣りする。さらに、新しい選手が加入してチームが生まれ変わろうとしているなか、久保が先発で活躍することになると彼が「チームの顔」になってしまって、さまざまなことを背負わせてしまうことになりかねない。経験を積ませる段階にある選手がチームのけん引役、チームの中心になってしまっては本末転倒である。

 プロになったばかりの16歳の選手に多くのことを背負わせてはいけない。過度なプレッシャーが原因で久保にストレスがかかりすぎてしまえば、それでケガをする可能性も高まる。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る