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浦和の命運がかかる大一番で下された、
エース・福田正博への非情采配 (6ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 でも、『とにかく早く点を取りたい』って、それしか考えていなかった。だから、監督に呼ばれたとき、いろいろと指示をされたけど、何も聞いていなかった。『いいから、早く出せよ』って思っていた」

 福田がピッチに入って3分後、最大のチャンスを迎えた。左サイドのペトロビッチからクロスが入り、中央で盛田が競ったボールが福田の前にこぼれてきたのだ。シュートチャンスだったが、左足でうまくコントロールできず、後ろにボールを流してしまった。そこから、再びクロスを入れたが、盛田のシュートは決まらなかった。

 福田は、コントロールミスしてシュートを打てなかったことを悔やんだ。

「あれは、完全に(自分の)準備不足。試合に入ったときの、気持ちの不足だよね。ピッチに入っても、監督に(怒りの)気持ちが向いていて、試合に集中し切れていなかった。

 俺は(前身の)三菱時代から浦和でプレーしてきて、チームには強い思い入れがある。『ちょっと前に入ったばかりの監督に、浦和の何がわかる。おまえと(俺と)は違うんだよ』って思っていたからね。ベンチから外されたりして、この試合でも最後の起用で『ちょっと違うんじゃないか』って。そういう思いが渦巻いていて、自分の感情をコントロールできないまま試合に出てしまった。

 それが、ミスにつながった。プロのサッカー選手として、そういう気持ちで試合に入ってしまったことは、あとで反省した。だけど、あのときは気持ちの整理がついていなかった」

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