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浦和の命運がかかる大一番で下された、
エース・福田正博への非情采配 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun


重要な一戦で先発から外れ、怒りしかなったという福田。photo by Sano Miki重要な一戦で先発から外れ、怒りしかなったという福田。photo by Sano Miki

 不穏なムードが漂う中、試合は始まった。

 絶対に負けられない浦和が積極的に仕掛け、それを広島がしのぐ展開で試合は進み、前半は0-0で終わった。

 後半に入って、ア・デモス監督がまず動いた。MFベギリスタインに代えて、FWの大柴健二を投入した。

 それから数分後、市原が先制したという一報が届いた。90分間、このまま0-0で終わると、浦和は延長で勝っても得失点差で15位となり、J2降格となる。その瞬間、まるで"死刑宣告"を受けたかのように、福田は冷や汗をかき、体が震えたという。

「(市原先制の情報が入って)非常に『まずいな』って思った。試合展開からして、ウチが点を取れるような流れじゃなかったからね。広島もタイトルとかまったく関係ないのに、体を張ってがんばっていたし。"ドーハの悲劇"のときのイラクじゃないけど、『おまえら、なんでそんなにがんばるんだよ』『優勝とか、残留とか、何もかかっていないんだから、そんなに必死にやらなくていいよ』って思っていたよ。

 市原がリードしたことをピッチにいる選手たちに伝えたら、広島の選手たちが『浦和、(90分以内に)勝たないとダメだって』とか言い合って、なんとなくほくそ笑んでいるように見えた。それを見たときは、カッチーンときたね。まあ、今にして思えば、相手が何のプレッシャーもなくプレーしていて、俺らが焦っている時点で負けているんだよ。それでも俺は、早く試合に出て、何とかしたい。その思いしかなかった」

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