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浦和の命運がかかる大一番で下された、
エース・福田正博への非情采配 (5ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 チームのためになんとかしたい――その思いは募るばかりだったが、ア・デモス監督はそんな福田の気持ちを踏みにじるような采配を続けていく。90分で勝たなければいけない状況の中で、攻撃陣をどんどんつぎ込んでいくのだが、大柴の次は盛田剛平だった。

 ジリジリとした展開が続き、一向にゲームは動かない。だが、時間は着実になくなっていく。

 出番を待つ福田はずっとウォーミングアップを続けていたが、後半30分を過ぎると、それどころではなくなってきた。試合の行方がとにかく気になって仕方がなかった。そして、時間が経過するにつれ、ある思いがフツフツと体の中で沸き立つのを感じた。

「『俺はもう、この試合には出られないな』と思っていた。『俺を使わないんだ。じゃあいいよ、もう』って投げやりになっていた。当時は『自分が』という思いが強かったから、監督に対する負の感情がどんどん大きくなっていった」

 すると突然、福田が呼ばれた。後半36分だった。

「オーオーオオ福田! ゲットゴーォル福田!!」

 サポーターの応援は最高潮に達していた。やり場のない怒りを抱えていた福田だったが、その声援を受けて、改めて燃える気持ちがメラメラと湧き上がっていた。

 残された時間は、わずか9分しかなかった。

「監督がどういうプランを考えていたのかわからないけど、俺はFWの中で一番最後の起用だった。つまり彼の中では、俺はFWで一番下ということ。しかも、後半36分からの出場って......。あのときは『その程度の信頼か』って、本当にがっかりした。

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