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鳥栖のイタリア流「論理のサッカー」は、
ユン時代より強くなったのか (4ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「浦和のように爆発的な攻撃力のある相手を、2点に抑えたとも言える。アウェーの浦和戦で勝てずに悔しがる。それは選手の成長で、貪欲なメンタリティとも言えるだろう」

 フィッカデンティ監督は負けなかったことを強調した。

 イタリア人監督らしい、守備を基調にした戦い方は成果を生み出している。悲観すべきではない。堅守とスピードを選択した布陣は、功を奏していた。例えばプレッシングとリトリートも、プレスに行くときは高橋義希がトップ下でプレスを掛け、引いて守るときはアンカーのような位置に下がりと、戦術的工夫もあった。また、小林祐三は5バックに入りながら、積極的にバックラインの前を潰し、未然に最悪の事態を防いでいた。

 リアクション戦術としてのロジックや多様さは、目を見張るものがある。

 一方で、これまでの鳥栖の強さは論理を超えた不条理なところにあった。ボールに食らいつく中、奇跡を起こすと言ったらいいだろうか。それはユン・ジョンファン監督時代に確立されたもので、終盤の猛攻はまさに"火事場力"の結集だった。それによって、優勝争いをするまで到達した。

 フィッカデンティ体制の2年目、その論理は"過去の栄光"を超えるのか?

「去年と今年を比べると、GKなど主力選手が入れ替わり、シーズン途中で鎌田大地が抜け、ケガ人(谷口博之など)も出ている。それを踏まえても、去年より今年の方がいい」

 イタリア人監督はそう言う。昨年は11位に終わった。今年は浦和に引き分けたあと、9位に位置している。


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