鳥栖のイタリア流「論理のサッカー」は、ユン時代より強くなったのか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

「戦術的には完璧な試合だった」

 サガン鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督は胸を張っている。浦和レッズを相手に敵地で2-2のドロー。結果としては上々だろう。

 鳥栖は集中的に自陣を守ることで、相手を引き込み、その裏にできたスペースを狙った。

「Molto Spazio」

 イタリア語で「広大なスペース」という言葉を指揮官は用いたが、それがタクティクスにおける軸になっていた。自陣では密集で守ってスペースを与えず、相手の裏にできたスペースを攻撃に使う。カテナチオとも、堅守カウンター戦術とも言えるだろうか。

 しかし、戦術的には互角以上に戦ったものの、勝ち切れてもいない。フィッカデンティ体制2年目の鳥栖は、はたして強くなっているのか?

浦和レッズ戦で2ゴールを決めた田川亨介(サガン鳥栖)浦和レッズ戦で2ゴールを決めた田川亨介(サガン鳥栖) 9月23日、埼玉スタジアム。J1リーグ第27節、浦和の本拠地に乗り込んだ鳥栖は、開始1分、いきなり先制に成功する。浦和のパスの乱れを自陣でカットし、中盤でボールをつなげると、小野裕二がセンターサークル付近から左サイドを疾走する田川亨介にぴたりと合わせる。田川はこれをノートラップの左足ボレーで逆サイドに蹴り込んだ。

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