注目のポドルスキはスタッフも面白い。専属通訳の破天荒なサッカー人生 (4ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko 原悦生●写真 photo by Hara Etsuo

 ドイツでは曲折を経て、当時3部のアーヘンの練習参加にこぎつけ、12~13シーズンからの契約を勝ち取った。だが13年1月、アーヘンは破産宣告を受ける。勝ち点が剥奪され、チームは4部に降格。現実的にチームを去らねばならなくなった。この時、村上氏はドイツサッカーの底力を思い知らされることになる。

 まず、所属がなくなった選手は、選手協会が主催し費用負担するキャンプに参加することができた。毎週月曜日から木曜日まで、今週はデュイスブルク、今週はライプツィヒといった具合に、各地のスポーツシューレをまわり、地元チームと練習試合を行なう。参加できるのは20人で、上位リーグに所属していた選手から参加する権利が与えられ、オファーを受けて契約を勝ち取った選手は抜けていくというシステムだ。

 アーヘン所属の村上氏はかなり早い段階から参加できたが、それでも約半年間の実績しかないこともあり、オファーがあったのはせいぜい5部のチームだった。そんなとき、仲間がアドバイスをしてくれた。しかるべき登録をすれば、前年度の給料の約7割が支給され、保険や税金、年金の類(たぐい)も払ってもらえるというのだ。この"失業手当"のおかげで、村上氏は約半年間のドイツでの浪人生活を、さほど慌てることもなく送ることができた。

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