世界が感動した「キング・カズ、50歳のゴール」はこうして生まれた (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 梁川 剛●撮影 photo by Yanagawa Go

「今日はセンタリングを上げたり、前を向いて味方にパスを出したり、そういうプレーを随所に出せた。自分自身、それを増やしていきたい」

 カズ自身、そんな言葉で手応えを口にしている。

 とはいえ、無粋なことを言えば、さすがの"キング"カズもその動きに全盛期のキレはない。持続的なスピードはともかく、瞬間的なスピードには衰えが目立つ。狭いスペースで相手DFをかわしてゴールを陥れるような芸当は難しくなっている。

 今のカズは、いつでもどこでもゴールを決められるわけではない。50歳がゴールを決めるためには、それなりの条件がそろうことが必要になる。具体的に言えば、時間的にも、空間的にも、ある程度の余裕が与えられること。そして、ワンタッチでシュートを打てること、などだ。

 いかにして、それらの条件をそろえるか。カギを握るのは、2トップを組むFWイバの存在である。

 身長190cm、体重88kgの巨漢FWは、高さとパワーではおそらくJ1を含めても屈指。相手DFを背負ったときの強さは、怪物と呼ぶにふさわしい。カズも「イバの近くにいれば、いいボールが転がってくると思っていた」と語る。

 実際、カズのゴールは、イバのシュートをGKがセーブしたところを左足で押し込んだもの。まさに狙いどおりだったわけだ。カズが振り返る。

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