2016年MVP、中村憲剛という
「サッカー人」を創った3人の恩師 (6ページ目)
「みんなは怒られると思っていたのか(笑)、あまり話していませんでしたけど、僕は代表監督の中では一番話をしました。そこは、昔から疑問があれば監督と話してきた経験が生きたかもしれない(笑)。
オシムさんのサッカーは、その当時、『考えて走るサッカー』と言われていましたが、僕はその"考える"という部分をずっとフォーカスしてきた人間。だから、そのサッカーにも馴染みやすかったですし、練習は難しかったけど、全然苦ではなかった。あのチームは本当にインテリジェンスが高くて、あのサッカーを経験した多くの選手は、今も現役でプレーしている。オシムさんはサッカーの楽しさを教えてくれた人。
そういう意味では、改めて『自分自身を突き詰めていかなければ』と思い起こさせてくれた風間(八宏)さんにも感謝しなければならない。30歳を過ぎて戦術やシステムばかりに目がいきがちになっていた自分に、『もっと自分自身の技術を高めろ』と言ってくれる人に出会えたんですから」
サッカーボールを蹴りはじめてから今日に至るまで、出会ってきたすべての指導者たちの言葉が、教えが、中村の今につながっている。そのすべてが彼を成長させてきたからこそ、36歳にしてMVPに輝けたのであろう。
中村が名前を挙げた残るふたりは指導者ではなかった。ひとりは、中村をチームの象徴となるべく押し上げてくれた人であり、もうひとりは彼自身を最も近くで支えてくれる人である。
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