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モーツァルトを聴き叩き込む。
サガン豊田陽平が語る奥深いゴールの極意 (6ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

「圭佑が空振りしたり、(香川)真司が詰め切れなかったり、というのは、僕にとっては不思議ではないです。ゴールって不思議で、決められるときは遠くでも近くでも、決められるんですよ。自分だったらどうか、と聞かれると、もっといいポジションをとって決められたかもしれないし、そうじゃないかもしれない。そうとしか言えないんです」

 豊田はそう説明した。ゴールはストライカーにとってさえ、つかんだ瞬間にすり抜けてしまう。

「自分の中では、決まった、と思うシーンは割と入っていませんね。頭で考えてしまっているんでしょう。なんにも考えていない、というときは、体が自然に動いています」

 豊田は語るが、そこにストライカーの到達点はあるのだろう。

「例えば浦和とのアウェー戦で、序盤にディフェンダーがかぶったボールのこぼれを読んでシュートに行ったんです。腰が回り切らず、シュートは外れました。でも、確信があってニアに打ち込んでいるんです。逆にアウェーの湘南戦は左からのクロスをニアに入って、強くインパクトしてゴール。このときは無心でした。無心がベストなんでしょう。でも日頃から何も考えていないと、無心にはならない(笑)。奥が深いですね」

 世界的なストライカーを数多く輩出してきたイタリア、セリエAで指揮してきたマッシモ・フィッカデンティのもとでプレーしたことは、豊田にとって大いに刺激になった。

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