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モーツァルトを聴き叩き込む。
サガン豊田陽平が語る奥深いゴールの極意 (7ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by AFLO

「ゴールの決め方は教えられない。でも、チャンスを多く作ることはできる。それが自分の仕事になる。俺の言うことをやっていれば必ずチャンスの回数は増える」

 フィッカデンティに言われたとき、その言葉は腑に落ちた。守備の伝統のあるイタリア人だからといって、うるさい注文はされなかった。前から守備ではめて、リトリートしたら中盤に落ちる。守備はその程度の決まりごとだった。もっぱらゴールを求められた。ストライカーがシュートポジションにいることができなかったら、その仕事を果たせない。簡単な理屈だ。
 
 11月3日、最終節のヴァンフォーレ甲府戦。豊田はGKがトンネルしたボールを蹴り込み、13得点目を記録している。5年連続15得点は達成できなかったが、最後まで挑み続けた。

「自分としてはやり続けるだけ」と豊田は淡々としたものだった。

「体力的なところでは、ジャンプは継続的にトレーニングしています。瞬発力は若いときと比べると少し落ちた気がするんで、それは取り戻したい。いつもフラットに物事を考え、"こうしなければならない"と自分を枠にはめないように。それは体を硬直させるだけですからね。絶対に点を獲らなければならない、という心理状態も健全ではない。やっぱり、余裕が大事。余裕があれば、駆け引きでも優位に立てますから」

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