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新鋭・横浜創英は異色の「丁寧なサッカー」でインターハイ優勝を目指す (2ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text & photo by Sato Shun

 インターハイ出場を優勝で決めるほどチームの質は非常に高いのだが、実は横浜創英には中学時代に全国大会を経験した選手がひとりもいない。私立高校だが、特にスカウティングもしていない。高校には狭い土のグラウンドしかなく、毎日練習できる場所も土のグラウンドで学校から電車で50分もかかる。強豪校のように環境的に恵まれていないので、勧誘しても獲得競争には勝てないのだ。そういう中で、宮澤監督は"創英スタイル"を作り上げていった。

「うちのサッカーは、ボールを丁寧に扱う、マイボールを五分五分にしたくないというのが原点になっています。たとえば、スルーパスは通れば、ビッグチャンスになりますが失敗する確率の方が圧倒的に高い。それなら丁寧に繋ぎ、素早く判断してスペ-スを見つけてボ-ルを出していく。片方のサイドで詰まったら、無理に前に行こうとせず、後ろに戻してやり直してもいい。ボールを失わなければ負けることはないわけです。とにかくGKから丁寧に繋いで自分たちが主導権を握って相手を制する。それが自分たちのスタイルです」

 オーソドックスなパスサッカーとは異なり、長短織り交ぜたパスを丁寧に繋ぎつつ、人がどんどん動く。キックの精度、止める技術、それに高度なコンビネーションが求められるが、機能すれば、相手はパスも人の動きも止められない。そのスタイルは現在流行の堅守速攻型のサッカーとは対極だ。シャビのいたスペインや現在の川崎フロンターレのスタイルに近い。

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