王者サンフレッチェ、苦境の「4位」は、むしろ賛辞を贈りたい (5ページ目)
「ラグビー日本代表監督だったエディー・ジョーンズさんの言葉じゃないけど、『私の仕事は、自分の仕事をなくすこと』だと思っている。選手たちが、試合によって、状況に応じて戦い方を変えていく。それが理想。そういう意味では今季、どこか選手たちにたくましさを感じるんですよね。プロフェッショナルな集団になったな、と思う」
試合のたびに成長していくことは、優勝した昨季も森保監督が強く訴えてきたことである。それを今季、選手個々としてだけでなく、チームとして見せ始めている。過去4年で3度の優勝を果たしたチームには、明確な「立ち返る場所がある」(森保監督)。ゆえに、試行錯誤を重ねても根幹が揺らぐことがないのも強みだ。
もちろんセカンドステージに入っても、メンバー入り濃厚なDF塩谷司(オーバーエイジ枠)とFW浅野拓磨がリオ五輪出場により、チームを抜ける時期がくる。主力不在の厳しい状況はまだまだ続くが、今の広島からはその苦しい時期にも、新たな進化が見られそうな予感すら漂っている。
改めて言うが、広島は決して常に優勝を狙えるようなビッグクラブではない。しかし今季も、工夫と成長を重ねて、チームは着実に進化している。そんな彼らが再び頂点を争う存在となる可能性は十分にある。
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