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王者サンフレッチェ、苦境の「4位」は、むしろ賛辞を贈りたい (3ページ目)

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 森保監督は、そこで選手たちに訴えた。

「例えば、ガンバの今野(泰幸)がウチの試合で見せた狡猾(こうかつ)さやしたたかさ、勝利への執念というものを、ウチの選手たちにも『もっと見せてほしい』ということを言いましたね」

 そんな指揮官の言葉にすぐに反応したのが、キャプテンのMF青山敏弘だった。オフ明けの練習を終えると、青山はボランチでコンビ組む森﨑和のもとへ歩み寄った。

「カズさん……、チームとして全体的にもっと前からボールを取りにいきたいんですけど」

 それは、森﨑も感じていたことだった。その場に居合わせたMF丸谷拓也も加わって、すかさずピッチ上で簡易的なミーティングが始まった。

「昨季優勝したことで、対戦相手も研究してくる。今までと同じことをしているだけでは相手もやりやすいはず。今までとは違うこと、相手が嫌がることをしていかなければ、と感じていた」(森崎)

 その後、守備の要であるDF千葉和彦らにも相談し、練習から新たなやり方を試してみると効果はてきめん。第14節、福岡戦での快勝(4-0)につながった。

 戦術的な変更だけに、森保監督も選手たちから報告は受けていたが、何ら否定することはなかった。「選手たちが何かを変えようとトライするのはいいこと」と、その挑戦を容認した。指揮官が続ける。

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