また優勝ならず。浦和がタイトルを獲得するためのラストピースは何か (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 確固たるフィニッシャーの存在がタイトル獲得に必要であることを裏づけ、ある意味で今季の浦和の歩みを象徴するのが、チーム最多ゴールを挙げた武藤だろう。

 昨季までベガルタ仙台でくすぶっていた武藤は、今季浦和へ移籍して大ブレイク。7月11日に行なわれたセカンドステージ第1節までに9ゴールを挙げると、浦和は歩調を合わせるようにファーストステージで無敗優勝を遂げた。

 ところが、シンデレラボーイも夏場を境に急失速。日本代表に初選出されたこともあり、過密日程を強いられるなかで、その後は“月1”の計4ゴールしか決められなかった。武藤が言う。

「これだけ1年間試合に出たことがなかったので、疲れでキレが出ていない試合があった。とくに代表から帰ってきた直後の試合は、体が重かった」

 果たして、新鋭フィニッシャーの調子が下降線をたどるとともに、浦和は次第にペースダウンしていった。無敗のファーストステージ制覇から一転、終わってみれば無冠での終戦である。

「リーグ戦ではある程度点が取れたし、1年間ずっと試合に出て充実していたが、結局は何も得ていない。タイトルを取るために成長したい」

 険しい表情でそう語る武藤。「自分の力のなさを痛感している。こういう大事な舞台で何かしたかった」と話す背番号19は、「自分は(スルーパスやクロスに)合わせたり、(ゴール前で)駆け引きしたりが特徴だが、それだけではこれ以上得点を伸ばせない」と語り、ゴール数をさらに伸ばすべく、課題をこう口にした。

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