名波浩監督が明かす、ジュビロを救った「奇跡のゴール」秘話 (5ページ目)
福田正博(ふくだ・まさひろ)/1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。JSL時代、三菱(現・浦和)に入団し1993年からJリーグへ。1995年には32得点をマークし、日本人初のJリーグ得点王となる。2002年、現役引退。S級ライセンス取得後、2008年から浦和レッズコーチに就任。現在はサッカー解説者として『S☆1』(TBS)など各媒体で活躍。福田 選手に対して、口酸っぱく言っていたこととかある?
名波 仲間意識。チームへの忠誠心。
福田 その仲間意識っていうのは、どういうこと?
名波 細かいことで言えば、言葉遣いに気をつけるとか。例えば、福田さんがミスしたとして、周りから「おい、何やってんだ、フク!」とか言われて、そのあと、チッって舌打ちされたりしたら気分悪いでしょ。
福田 ああ、わかる、わかる。
名波 そういうのは、許さない。即、注意する。
福田 そういえば、選手たちに、みんなで一緒に食事に行くようにうながしていた、という話も聞いたけど。
名波 そこは、ベテラン選手をつかまえて、相当言いました。「おまえら、多くもらっている意味を考えろ」って言っていましたね(笑)。
福田 今の若い子って、ベテラン選手とかと一緒に食事に行ったりしないでしょ?
名波 それが、行くようになったんですよ。今では「行き過ぎだろ」っていうほど、みんなで一緒に食事に行っている。良いか、悪いかは別にして、寮生たちも先輩に連れて行ってもらって、どんどん外食するようになった。でも、そうすれば、先輩たちにいろいろ教えてもらえるじゃないですか。それに、絶対にサッカーの話をするでしょ。前の試合を振り返ったり、次の対戦相手のことを話したりして、自分たちのサッカーや、プレーについても語る。そこで、キャリアのある選手が、若手にアドバイスをしてあげればいい。そういう中で、疑問に思っていたことが解決できるかもしれないし、それぞれどんなことを考えているかがわかれば、それがピッチ上でも必ず生きると思う。
福田 そこで得られるモノって、結構多いからね。
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