名波浩監督が明かす、ジュビロを救った「奇跡のゴール」秘話 (2ページ目)
名波 そういう状況に備えて、パワープレーの練習をしていましたから。本来DFの藤田義明をフォワードのポジションに入れて、ロングボールやサイドからのクロスで(藤田の高さを生かして)どうにかしようと思っていたんですよ。それで、最初はMFアダイウトンと(藤田を)代える予定にしていたんですが、アダイウトンはペナルティーボックスの中までボールを運べば、最後にドカーンっていうパワーを持っているから、ボランチの上田康太を引っ込めることにしたんです。
ところが、ベンチで交代の準備をしていると、試合が再開されて、左サイドバックの宮崎智彦からアダイウトン、康太とつないで、康太のシンプルなクロスからMF小林祐希がシュートを決めた。あの場面、左サイドでアダイウトンがタテのスペースに走り込んだ康太につないだんだけど、大分のボランチがバテていて、康太にはパウリーニョが(マークに)ついていかざるを得ない状況になった。もし普通にボランチの選手に対応されていたら、(上田が)潰されているか、スローインになっていた。選手がみんな前向きだったこともあるんですが、あれはラッキーでしたね。
福田 あっという間の同点劇だった。何が起きたんだって感じだったよ。それでも、同点に追いつかれたときも、名波監督はすごく冷静に見えていた。
名波 冷静でしたね。
福田 バタバタしちゃうというか、慌てるような感じはなかったの?
名波 腹の中では「オレ、持ってねぇな」って、その連呼ですよ(笑)。とにかく「これは、オレが悪い」って、それだけ。昨年のことも含めてね。
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