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「人生ぶつかるJ3」の町田ゼルビア、心の消耗戦に勝ってJ2へ (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 日刊スポーツ/アフロ●写真 photo by Nikkan Sport /AFLO

 後半に入ると、前半に攻め続けた大分に疲労の色が見え始める。

「押し込まれそうなのは分かっていたので、自分たち(前の選手)はやるべきことをやるだけでした。(トップを組んだ)戸島(章)と2人で話して、“我慢していれば、必ずワンチャンスあるから”と信じてプレーしていました」

 そう信じ切れた鈴木孝司が躍動した。ラインを破るセンス、マークを外す技術、タイミングはJ1クラスのFWだろう。後半58分、昨季のJ3リーグ得点王は最終ラインをすり抜け、エリア内でディフェンダーともつれる形でファウルを得る。そのPKを自ら決めた。チームが辛抱し、GKが潮目を作った流れに、エースFWが乗った。

 この1点により、大分の方が心理的な強い圧迫を受けることになる。何度となく攻めかけながら、PKさえ決められず、さらに失点したことで焦燥感と倦怠感に徒労感も加わる。選手たちの動きは酷いほどに鈍くなった。

 その後も町田は戸島がポストにシュートを当て、鈴木孝司がGKと1対1になるなど、とどめを刺せる場面も作っている。結局、この1点のリードを守って勝利。終わってみれば、2戦合計で3-1と完勝だった。

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