夢はわずか2分間の幻に。J3優勝を逃した町田が「壁」に挑む (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真 photo by AFLOSPORTS

 試合は、町田がオーソドックスな4-4-2で積極的に攻める姿勢を見せた。鈴木崇文の左足は可能性を感じさせ、幾度かゴールに迫る。一方の長野は5-2-3に近い守備的布陣を敷きながら、ボールプレーを捨て、攻撃は徹底して裏を狙う。お互いの構えははっきりと出たものの、どちらもプレー精度が低く、スコアボードは動かない。

 ようやく試合が動いたのは、後半64分だった。

 後半に入ってから、町田のワンサイドゲームになっていた。長野がずるずるとラインを下げ、中盤で数的不利を強いられるにもかかわらず、何ら有効な手を打てなかったからだ。町田はそこにつけ込むように戸島章がヘディングで決定機を迎えるなど、ゴール前に肉薄。ロープ際に追い込んで滅多打ちにするように、さらに前がかりになる。

 だが、「今日のような試合、プレッシャーがなかったと言えば嘘になる」と関係者が洩らしたように、決めきれずに強気が焦りに変わっていたのだろう。

 長野がほとんど当てずっぽうで放ったパンチは、意外なほど鋭かった。隙を突いたカウンターで町田陣内にボールを持ち込むと、パク・ゴンがタイミングとコースを見計らったスルーパス。ダイアゴナル(対角線上)に走ったFW佐藤悠希が受け、ダイレクトで左隅へ流し込んだ。

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