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夢はわずか2分間の幻に。J3優勝を逃した町田が「壁」に挑む (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 田村翔/アフロスポーツ●写真 photo by AFLOSPORTS

「失点する前に決定機がありました。そこを町田が決めきれなくて。やはり、決定機をいかに決めるか、だと思います」

 そう語った町田のFW鈴木孝司が意地を見せる。後半74分、CKの流れからだった。昨シーズンのJ3得点王は、ゴール前の予備動作で優る。ファーからニアサイドに鋭く入ると、左サイドの森村昂太の左足クロスを呼び込み、会心のヘディングをゴールへ放り込んだ。

 どうにか同点に追いついたものの、町田の攻勢はここまでだった。

「決めきる力が足りなかった」

 試合後の記者会見、相馬監督は厳しく自戒している。

「チャンスはあったので、決めていれば勝っていた。勝っていれば、昇格も現実になった。試合としてはカウンターを狙われる形で、結果的にそこで失点してしまった。ゴールをこじ開けられたことは、次の入れ替え戦につながると思いますが」

 試合が終了した時点で、町田は首位に立っていた。山口が鳥取に1-2でリードされたまま、アディショナルタイムに入っていたのである。その経過は選手に伝えられておらず、町田の地元メディアがSNSで「町田、優勝」という誤報を出すなど情報が錯綜し、ゴール裏席や記者席でも気勢を上げる人がいた。混乱の中で関係者も優勝と早とちりし、それが一部選手から全選手に伝播、サポーターもその様子に狂喜した。

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