ガンバを粉砕。大一番で見えたサンフレッチェ広島「強さの秘密」 (3ページ目)

　この日、ガンバは遠藤保仁がトップ下を務めた。そんな相手のキーマンにも広島はまった仕事をさせなかった。MF森﨑和幸が遠藤から何度となくボールを奪取し、ガンバの攻撃の芽を摘んだ。森﨑和が語る。

「チーム全員が、試合は90分間ある、という考えのもとで戦えている。自分たちの時間じゃないときがあったとしても、自分たちの役割をきちんとこなして、またウチのリズムに取り戻す。そこが、今季の強さかなって思いますね」

　森保監督も、その点についてはチームの成長を実感している。

「苦しい時間帯を耐えて、しのいで、粘り強く戦ってチャンスを作る、という戦い方については、アウェーの厳しい試合の中でも、シーズンを通してできていたところだと思います。そこに、これまでやってきたことの成長が現れていると思います」

　試合には“流れ”があることを、チーム全員が熟知している。だからこそ、劣勢な状況にあっても、相手に押し込まれても、守備陣は慌てることがない。そこには、虎視眈々と好機を狙い、攻撃陣が確実に決めてくれるという、絶対的な信頼感もある。

　DF水本裕貴の負傷退場という緊急事態にも危なげなく対応した塩谷は、今季好調な要因についてこう語った。

「今季は、本当に我慢して、我慢して決める、というのが実践できている。それが、今季の勝負強さの一因で、今季の広島のよさだと思います」