ガンバを粉砕。大一番で見えたサンフレッチェ広島「強さの秘密」

  • 原田大輔●文 text by Harada Daisuke
  • photo by Kaz Photography/Getty Images

 耐え、しのいだ先にチャンスが広がっていることを彼らは知っている。言い換えれば、したたかさや老獪(ろうかい)さと見ることもできる。今季のサンフレッチェ広島は、勝ち方を知っている――まさにそんな勝利だった。

 11月7日に行なわれたJ1セカンドステージ第16節で、広島がガンバ大阪に2−0と快勝。年間1位の座とステージ優勝は最終節まで持ち越しとなったものの、J1最少失点を誇る今季の戦いぶりを象徴するような、盤石の試合運びでタイトル奪取へ王手をかけた。

ガンバ戦で決定的な2点目を決めたサンフレッチェの清水航平。ガンバ戦で決定的な2点目を決めたサンフレッチェの清水航平。 指揮官の森保一監督が、「前半は押し込まれる展開も多かった」と振り返ったように、序盤から広島が主導権を握っていたわけではなかった。開始直後はガンバの攻撃にやや翻弄された。前半15分には、ガンバの左サイドバック・藤春廣輝がオーバーラップして、MF宇佐美貴史に縦パス。そのまま宇佐美にDFの裏へと抜け出され、決定的な場面を作られた。

 しかしそのピンチを、GK林卓人がファインセーブ。「立ち上がりから何度かピンチがありましたけど、あそこで卓人さんが防いでくれたのが大きかった」と、DF塩谷司が強調した1プレーで切り抜けると、徐々に盛り返していった。

 前半22分には、左サイドからMF清水航平が中央へクロス。ボールは逆サイドに流れるも、MFミキッチからMFドウグラスにつないで、ドウグラスからのパスを受けたFW佐藤寿人が好機を得た。28分には、ドリブルで持ち上がったMF青山敏弘からドウグラスがパスを受けてシュート。さらに30分には、塩谷が積極的な攻撃参加を見せて、最後は自らフィニッシュを放つなど、人数をかけた攻撃で再三チャンスを演出し、リズムをつかんでいった。

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