あえなくJ2降格も、松本山雅にとって「価値ある1年」

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 11月7日に行なわれたJ1セカンドステージ第16節。年間順位16位の松本山雅FCはヴィッセル神戸に1-2で逆転負けし、来季のJ2降格が決まった。

 昨季J2で2位となり、クラブ史上初のJ1昇格を果たした松本だったが、わずか1シーズンでJ2へ逆戻りすることになった。

「非常に残念な結果であることは間違いない。ある意味、今季を象徴しているゲームだった」

 反町康治監督が試合後に語った言葉がすべてを物語っていた。

 松本は前半、ボールポゼッションで上回る神戸の一瞬のスキを突いて先制。相手のPK失敗にも助けられ、1点のリードで前半を折り返すと、後半は開始直後から完全に試合の主導権を握った。

 この時点で、年間順位15位のアルビレックス新潟が湘南ベルマーレに0-1とリードを許しており、このまま試合が終われば、松本はJ1残留のわずかな望みを最終節までつなげることができるはずだった。

 ところが、松本は次々に訪れた追加点のチャンスを生かせないまま、試合時間も残り5分というところで神戸に同点ゴールを許すと、ロスタイムには勝ち越しゴールまで許してしまった。

 松本はセカンドステージに入り、せっかく先制しながら試合終了間際に同点ゴールや逆転ゴールを許し、手にしかけた勝ち点を逃してしまう試合が目立った。だからこそ、反町監督は「うちの今までの流れを考えれば、どうしても2点目を取らなくてはいけなかった。1点差だと追いつかれてしまうので、2点目を狙うことだけを前提にやっていた」と、1-0での逃げ切り策は考えていなかったことを明かす。

 しかし結果は、悪夢の逆転負け。松本の初めてのJ1挑戦は、まさに「今季を象徴するゲーム」で終焉を迎えた。

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