あえなくJ2降格も、松本山雅にとって「価値ある1年」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Etsuo Hara/Getty Images

 奮闘及ばず、最悪の結末に至った松本だったが、キャプテンのDF飯田真輝は潔く「単純に力が足りなかった」と認め、こう語る。

「外から見たら取りこぼしに見える試合もあったかもしれないが、それは相手の力が自分たちを上回っていたということ」

 確かに今季の松本の戦いぶりを振り返ると、紙一重の勝負といった惜しい試合がいくつもあったのは事実だが、1シーズンをトータルで考えれば、やはり地力の差による力負けである。酷な言い方だが、戦力的には妥当な結果だったと言わざるをえない。反町監督が語る。

「やっぱり(J2から昇格してきた)新規参入のクラブは厳しい。湘南みたいにJ2でもかなりの勝ち点差をつけて(J1に)上がってきて、しかも戦力を維持できれば成績は残せる。でも、うちはJ2でもダントツの力を見せて上がってきたわけではないし、(J1残留ギリギリの)15位に入れれば、というのが正直なところだった。(開幕前に)降格候補に挙げられていたが、それは普通に見て当たり前のことだった」

 そして、J1での過酷な戦いを経た今となっては、「昨年(J2)は相手に救われた面があったことは否めない。戦術的な部分でもごまかせる部分があったが、J1は絶対にごまかせない」というのが、指揮官の実感だ。

 その一方で、反町監督はJ1を戦う中で成長していくチームに手応えを感じてもいた。

「ファーストステージのほうが勝ち星は多かったかもしれないが(ファーストステージ4勝、セカンドステージ3勝)、チームとしてはセカンドステージのほうがJ1仕様になってきていた。(移籍による補強で)新しい選手が入って競争し合う中で、いい試合を多くできたと思う」

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