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清水エスパルス、J2降格の真相。発端は5年前の「事件」 (5ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「来季は、試合を見る回数が半減すると思う。チームに魅力を感じなくなってきたから。昨年あたりから、試合に来るサポーターも減ってきている。1年でJ1に上がってもらわないと、清水からサッカーの灯が消えてしまうかも……」

 事実、J2降格危機に直面していた仙台戦では、2万人が収容できるスタジアムに集結したファンの数は1万3000人ほどにとどまった。チームの低迷はもちろんだが、クラブの生え抜きや、地元に愛着のある選手たちが次々にいなくなってしまったからに他ならない。

 J2降格となれば、今後も主力選手の流出は十分に考えられる。そうなれば、集客はますます減っていく可能性がある。それは当然、スポンサー収入の減少にもつながって、クラブの経営自体に影響を及ぼしかねない。左伴社長は、予算の確保、選手の流出阻止に自信を見せるが、それも来季に限ったこと。1年でJ1昇格を果たせなければ、危機的な状況を迎えてもおかしくない。

 降格が決まった翌日、練習試合を行なっていた清水の練習グラウンドに、サポーターが『再出発』という横断幕を掲げた。清水にとって来季は、まさにJ1昇格を目指しての再出発となる。が、J2の戦いは、決して甘くはない。一昨年J2に降格して、翌年J1即復帰を果たせなかった地元の“ライバル”ジュビロ磐田の苦戦を見れば、それは明らかだ。

 この先も、清水に待っているのは“いばらの道”である。その道を切り開くには、現状のままではいけない。フロントがチームの再建を本気で考えて、誰もが納得できる方向性を示す必要がある。そのうえで、スタッフ、選手、そしてサポーターたちが一丸となって戦わなければいけない。

 それが実現できなければ、「サッカー王国」の復権もなければ、そんな呼び名があったことさえ、世の中から忘れ去られてしまうだろう。

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