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清水エスパルス、J2降格の真相。発端は5年前の「事件」 (4ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

「J2降格を招いたのは、何よりゴトビ監督をコントロールできなかったことが大きかった。本来強化部長は、監督を管理、監視する立場だと思うが、エスパルスではまるで(監督の)部下のように振る舞っていた。監督の要望ばかり聞いて、選手のほうをまったく向いていなかった。そこが問題だった。選手は(チーム内で)孤立してしまったら、居場所がなくなる。当然、チームから出たくなりますよ」

 清水から移籍したある選手が言う。

「今所属するチームに来て、フロントが選手の味方にもなってくれることを初めて知った。清水に在籍していた当時は、(フロントから)完全に敵扱いされていましたから」

 現場スタッフ、選手、そしてフロントが一体となって戦わなければ、結果は出せない。監督vs選手、選手vsフロント……そんな対立関係を何年間も放置してきたとなれば、清水の現状も頷ける。まして、チーム最大の“財産”である選手たちをないがしろにしてきた。その報いが、J2降格なのだろう。

 降格が決まった地元の衝撃も相当なものだった。地元の新聞各紙が一面で大々的に伝えれば、地元放送局はエスパルスのJ2降格をニュース番組内で特集を組んで報じた。また、地元の財界人によれば、「エスパルスのJ2降格による経済的な損失は、年間数十億円に及ぶ」という。

 そんな中、20年以上もホームスタジアムに足を運んでいるという50代の女性ファンが「もう応援する気力も失せてきた」と漏らしていた。

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