アジアカップで日本が連覇するための2つのキーポイント (3ページ目)
ポイント2:形にこだわらず勝利を追求せよ
グループリーグを勝ち上がった後はトーナメント戦。多少の運も関係してくるが、選手の力量やクオリティー、経験値やチーム状態を考えれば、日本代表が優勝する確率は7、8割あると私は見ている。決勝トーナメントには、順当ならば開催国のオーストラリア、ライバルの韓国、イラン、イラク、カタールなどが勝ち上がってくるだろう。
そうしたライバル勢に勝つために、日本代表は“自分たちらしいサッカー”にこだわらず、まず結果を追い求めてもらいたい。これがもうひとつのポイントといえる。試合展開によっては、パワープレーだろうと、練習でやってないことだろうと、勝つためにやるべきことは、どんなことでもやってほしい。
日本のサッカーファンやメディアは「システム論」や「ゴールの形」といったプロセスを重視する傾向にあるが、選手のポジショニングは試合の流れによって変わるものだし、セットプレーからの得点も流れからの得点も、ひとつのゴール。サッカーは相手がある勝負だからこそ、自分たちの形だけを追い求めるよりも、勝利という結果に向けて臨機応変に対応する柔軟さがより重要になる。
その点、今回のメンバーはW杯ブラジル大会で敗北を経験している選手が多いため、結果を重視する方向に意識が向いているはずだし、アギーレ監督は現実主義者なので心配はしていない。相手を上回れる日本のストロングポイントがあれば、それが自分たちの目指す形でなくても、とことん結果にこだわって、勝ち上がってもらいたい。
活動時間が限られている日本代表にとって、決勝戦まで勝ち残れば3週間という時間を共有できるのは貴重なことだ。だからこそ、1試合でも多く勝ち、チームが成長していくことに期待している。アジアカップを連覇し、2018年のW杯ロシア大会に向けて弾みとなる一歩を踏み出してもらいたい。
プロフィール
福田正博 (ふくだ・まさひろ)
1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。
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