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【高校サッカー選手権】初優勝にかける星稜の「ふたつの思い」

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 高橋学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 第93回全国高校サッカー選手権大会の準決勝2試合が、1月10日に埼玉スタジアムで行なわれた。第1試合は、前回大会準優勝の星稜(石川県)が日大藤沢(神奈川県)を3-0で下して、2大会連続の決勝進出を決めた。V候補同士の対戦となった第2試合は、前橋育英(群馬県)がPK戦の末に流経大柏(千葉県)を撃破(1-1/PK5-4)。初の決勝進出を果たした。

 この結果、1月12日に埼玉スタジアム(13時35分キックオフ)で行なわれる決勝は、星稜と前橋育英が激突。どちらが勝っても、初優勝となる。

選手権制覇への強い思いを秘める星稜のFW森山泰希(写真中央)。選手権制覇への強い思いを秘める星稜のFW森山泰希(写真中央)。 星稜には、ふたつの"思い"がある。ひとつは、前回大会のリベンジだ。

 昨年の決勝戦、星稜は富山第一(富山県)を相手に2-0とリードしていながら、後半42分に1点返されると、試合終了間際に追いつかれた。そして延長後半に逆転ゴールを喫し、目前に迫っていたタイトルを逃した。その苦い経験を味わった選手が、今年のチームには何人も残っている。

 実際に決勝のピッチに立って、涙を流したDF鈴木大誠(すずき・だいせい/3年)は語気を強めてこう語る。

「(今大会の)決勝は、昨年の雪辱を晴らす場所」

 また、昨年は屈辱の敗戦をスタンドで見つめていたFW大田賢生(おおた・さかき/3年)の心持ちも、鈴木と同様だ。

「悔しい思いをした先輩たちのためにも、自分たちが全国制覇を果たさなければいけないと思っている」と、昨年のリベンジに並々ならぬ闘志を見せる。

 もうひとつの"思い"は、年末に交通事故に遭って、今なお入院中の河崎護監督への感謝の念だ。

 今大会で監督代行を務める木原力斗コーチが、「河崎監督がずっと言ってきたことを、僕たちは継続してやっているだけ」と話すように、決勝まで駒を進めてきたチームのサッカーは、河崎監督が作り上げたもの。とりわけ、準決勝の日大藤沢との戦いでは、その教えが存分に発揮された。FW森山泰希(もりやま・たいき/3年)が言う。

「監督からは『(2トップでコンビを組む大田と)ふたりで崩せ』と、ずっと言われてきました。最初は、それがどういう意味なのかわからなくて、大田とふたりで考え悩むことが多かった。でもいつしか、監督に言われていることが"(ふたりの)動きで崩せ"という意味だとわかったんです。そうして、どちらかひとりが引いたら、その空いたスペースをもうひとりが使って崩すとか、互いの動きをより意識して、コンビネーションよくプレイができるようになると、ゴールが取りやすくなりました。そういったことを監督に教えていただいて、本当に感謝しています」

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