【高校サッカー選手権】流経大柏vs前橋育英はプロ注目の準決勝

  • 粂田孝明(ストライカーDX編集部)●文 text by Kumeta Takaaki(STRIKER DX)
  • 浦正弘●撮影 photo by Ura Masahiro

 12月30日に開幕した第93回全国高校サッカー選手権。「戦国模様」という戦前の予想どおり、1回戦から熾烈な戦いが繰り広げられてきた。結果、高校総体覇者の東福岡(福岡県)をはじめ、青森山田(青森県)、静岡学園(静岡県)、履正社(大阪府)など、優勝候補に挙げられていた強豪校が次々に姿を消した。そして、1月10日に行なわれる準決勝(埼玉スタジアム)は、星稜(石川県)vs日大藤沢(神奈川県)、流経大柏(千葉県)vs前橋育英(群馬県)というカードとなった。

 第1試合は、前回大会で決勝に駒を進めた星稜と、選手権初の4強入りを果たした日大藤沢が対戦。両者のここまでの戦績は以下のとおり。

◆星稜
2回戦   0-0(PK5-3)鹿児島城西(鹿児島県)
3回戦   2-1米子北(鳥取県)
準々決勝 1-0履正社(大阪府)

◆日大藤沢
1回戦   2-2(PK4-3)徳島市立(徳島県)
2回戦   3-2高川学園(山口県)
3回戦   3-0開志学園(新潟県)
準々決勝 2-1静岡学園(静岡県)

 星稜は、名将として知られる河崎護監督が年末に交通事故に遭って入院。準々決勝までは木原力斗コーチが代理監督を務めてきたが、チームのストロングポイントである「団結力」をフルに生かして、接戦をモノにしながらここまで勝ち上がってきた。

 準々決勝の履正社戦では、ボールキープ力に長(た)けた履正社に対応した守りを駆使。緻密な計算とコンビネーションのとれた"全員守備"で零封した。キャプテンのDF鈴木大誠(すずき・だいせい/3年)が語る。

「こちらで(守備の)網を張って、相手がある程度のところまでボールを運んでくるのを待って、網に入ってきた瞬間、一気に全員でボールを奪いにいった。それが、うまくはまったと思う」

 その守備を後ろ盾にして、攻撃では2トップの森山泰希(もりやま・たいき/3年)と大田賢生(おおた・さかき/3年)のコンビが奮闘。限られたチャンスの中、果敢に相手ゴールに迫っていった。そして後半10分、森山のクロスを大田が右足で流し込んで均衡を破り、2大会連続のベスト4進出を決めた。

 突出した選手がいない分、誰かに頼るサッカーではなく、ひとりひとりが献身的なプレイを見せてがんばれるのが星稜のよさ。河崎監督の復帰は未定だが、「(河崎)監督がやってきたサッカーを最後までやり通したい」と木原コーチは"星稜スタイル"に自信を持つ。そして、「昨年、忘れてきたものを獲りにいく」(大田)と、前回目前で逃した全国制覇が選手全員の思い。その力強い決意を胸に秘め、まずは日大藤沢戦に挑む。

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