小野伸二、35歳。「札幌でサッカーがまた楽しくなった」 (2ページ目)
「僕と10歳以上も年の離れた選手が多いけど、(MF荒馬)拓馬とか(MF中原)彰吾とか、個々に能力の高い選手がそろっていて、彼らからいい刺激を受けている。彼らのパスセンスだったり、前にどんどん飛び出していくプレイだったり、僕には少し足りない部分なんでね。チーム内でそういうのを感じられるのはすごく大事なことだし、自分ももっとやらないといけないと思うようになった。お互いに刺激し合って、彼らの中から将来、日本代表に入っていく選手が出てくれればいいな、と思う」
練習後のグラウンドでは、若手選手たちと車座になって談笑している小野の姿があった。その光景を見ていると、チームに溶け込んでいるといより、随分前からこのクラブにいたかのような印象すら受ける。
それにしても、小野はオランダなど海外でプレイを重ね、3度のW杯に出場するなど、チームでは突出した国際経験を持つ。そんな彼にとって、日本のJ2というカテゴリーでプレイすることに、物足りなさを感じることはないのだろうか。
「カテゴリーがJ2だろうが、J1だろうが、自分にとってはあまり関係ないんですよ。サッカー選手は、望まれた場所でプレイするのが一番だし、どこにいても"チャレンジする"という点では同じこと。だから、カテゴリーがどうのこうのとか、気にしたことがない。それよりも、チームで何ができるのか、ということのほうが大事なんです」
かつて所属したクラブでは"小野伸二"という痕跡(こんせき)を必ず残してきた。札幌では、どんなことにチャレンジして、何を築いていこうとしているのか。
「まず、パスサッカーの精度を高めていくこと。まだまだ時間がかかるけど、川崎フロンターレのようなサッカーが実践できれば、僕らも楽しいし、見ているサポーターにも楽しんでもらえると思う。そして『これが、札幌のサッカーだ!』というものを完成させたい。
目先のことを言えば、大事なのはJ1昇格を達成すること(札幌の順位は現在12位。勝ち点41。プレーオフ出場圏内の6位大分トリニータとは勝ち点4差。※9月12日時点)。そのために、自分はここに来たわけだし、それを達成するために、全力を尽くしてやるしかないと思っている。そうして、J1に上がった札幌でプレイするのが、現時点での自分の目標です」
小野の加入で、ポゼッションを主体としたパスサッカーは少しずつ進化してきている。バルバリッチ監督になって、多少の戦術の違いは出てくるだろうが、どんなサッカーであれ、今後もその中心に小野がいることは間違いないだろう。
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