W杯への決意新たに。工藤壮人の結婚式で思ったこと (3ページ目)
家族は相当の覚悟が必要だろう。サッカー選手の妻は荒波を受ける。例えば、夫と同じポジションの選手との関係を意識せざるを得ず、夫以上に孤立しやすい。あるいは結婚してから不調になると、ファンから心ない非難を浴びることもある。また、夫はピッチで結果を出すのが仕事だが、妻は実際のプレイには何の手助けもできないため、無力感を抱えることも多い。
「なにがあっても付いていく」。その心構えが伴侶には求められる。
ただ、総じて女性は強い。男よりも生来的に肝は据わっている。子供ができた場合は、ほとんどの選手は完全に尻に敷かれる。それは然るべき形とも言えるかもしれない。
工藤の結婚式、賑やかで心温まる披露宴が終わった後のこと。夫の隣に立つ妻は、すでに凛とした伴侶の顔をしていた。儀式を終えた彼女は、覚悟を決めたということか。それは勝手な推測かもしれないが――。
ともあれ、巡り会った二人は共に生きるだろう。漫画の世界で、父が娘を主人公ソラに託したように。“幸せを感じられるか”は、二人次第なのである。
※この原稿は、ジャンプSQにて小宮良之氏が連載しているコラム『1/11の風景』に加筆修正を施したものです。
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