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大久保嘉人、豊田陽平...ストライカーの条件は「群れないこと」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by YUTAKA/AFLOSPORTS

「チームメイトとどこに行くのもなにをやるのも一緒、と仲間とつるんでしまう選手は、ストライカーには向かない」

 北京五輪日本代表監督で、現在はJ2松本山雅の監督を務める反町康治監督は語っていたものだが、これは世界共通のストライカーに対する認識だろう。

 人とつるむ。

 それは心理的には自信の欠如だと説明される。連帯することで自分の責任を人と分け合い、ようやく精神の安定を保てる。そうした帰属意識が高い人物は、集団の中で役割を与えられれば、それを懸命に全うする貴重な存在だが、個性としては輝きにくい。

 言わば、ストライカーは元来的に"集団からはみ出すべき存在"なのだ。

 自分が取材してきたストライカーたちは、多かれ少なかれ、"棘(とげ)"を持っていた。例えばブラジルW杯出場を狙う豊田陽平(サガン鳥栖)は、その点で堂に入っている。彼はむしろ集団に流されることを嫌う。例えば、黙々と一人で走れるし、あるいは、気の向かない質問には軽々しく口を開かない。

「今以上に昔の方が、プレイそのものにも棘があったというか、人を近づけない感じでしたね」

 これは豊田の自己分析である。その性格はエゴイストとも表現できるだろうが、ゴール前の仕事は極度のストレスを伴うだけに、空気に流されない剛勇の精神と肝の太さが求められる。

「昔はライバルのFWが点を決めると、ベンチを蹴り、ふて腐れてましたね」

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