2014.03.18

大久保嘉人、豊田陽平…ストライカーの条件は「群れないこと」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by YUTAKA/AFLOSPORTS

 2013年シーズン、Jリーグ得点王に輝いた大久保嘉人(川崎フロンターレ)は、ストライカーの匂いが濃厚にする男だ。決して”いい人”ではない。ピッチでは悪辣(あくらつ)な行為も辞さないし、敵を作るタイプだろう。しかし、彼は頓着しない。例えばディフェンダーの足を故意に踏んでも、傷つけるという悪意はない。得点を取るため、ルールのぎりぎりで相手より有利になることを考えているだけのことだ。

 大久保は幼い頃から目をぎらつかせてピッチに立ってきたし、戦闘本能に突き動かされるように動いている。だからこそ、スペイン時代にはデイビッド・ベッカムに最上級の侮蔑の言葉を浴びせ、カルレス・プジョルに”無礼な”股抜きドリブルをやってのけた。その一方で、南アフリカW杯では半月板を損傷させながら走り続け、一度は「引退する」と決意するまで激しく戦った。

今季は開幕から3試合で3ゴールを決めている豊田陽平(サガン鳥栖) ストライカーは他のポジションの選手よりも荒々しくふてぶてしい反面、ナイーブで無邪気で憎めないところがある。彼らは感情を裸にしたまま、自ら心の赴(おもむ)くままに行動できる。その爽快なほどの無心に、僕は同じ男として嫉妬を感じながら、人間を丸ごと描いてみたい衝動に駆られるのだ。

 彼らは行動に爽やかな潔(いさぎよ)さがあり、特長としては”群れない”。