グランパス、復権へ。西野新監督が仕掛けた攻守の「新味」
名波浩の視点
今季から西野朗監督が指揮官となった名古屋グランパス。第3節では、アウェーながら柏レイソルに1-0で勝利した。
ルーズボールに素早く対応するグランパスのMF小川佳純。後方はレイソルのMF高山薫。 グランパスは序盤から主導権を握って、前半はFW玉田圭司やMF枝村匠馬が敵DFの背後を突いて決定機を演出。その回数は決して多くはなかったけれども、非常にタイミングがよくて、グランパスの新たな攻撃の形として強烈なイメージを植えつけられた。
そして後半、枝村に代わって出場したFW矢野貴章が、カウンターから右サイドでボールを受けると、フリーで持ち上がって中央へクロス。ファーサイドのFWケネディがヘディングシュートを決めた。おそらく試合前から狙っていたであろう、レイソルのサイドバックの裏のスペースを突いた鮮やかなゴールだった。
それにしても驚くべきは、枝村と矢野の交代。枝村は確かに守備面で物足りない部分があったかもしれないが、攻撃ではチャンスを作って、前線の有効な"駒"として存在感を示していた。それだけに、後半の頭からという早い時間帯でなぜ代えたのか、疑問に思った。しかし、枝村をスパッと引っ込めたことで、守備における不安要素は払拭され、代わって出場した矢野が見事に結果を出した。
非常に難しい判断で、自分が監督だったら、とてもできなかった采配。さすが、Jリーグで何百戦(リーグ通算459試合)も指揮をとってきた西野監督は違うな、と痛感させられた。
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