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サッカー日本代表の「史上最強」を検証 大敗した2006年大会からの20年でブラジルとの「差」はどれだけ縮まったのか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Yoshiyuki Komiya

【初勝利に貢献した中盤の優勢】

 大会を通じて川口は守護神にふさわしいセービングを見せていたが、それだけでワールドカップを勝ち上がることはできない。オーストラリア戦はラッキーゴールの1点だけ、クロアチア戦はスコアレス、ブラジル戦は玉田の一撃のみ。ストライカー陣が大会直前のドイツ戦でケガを負ったという事情もあったが、それもフィジカルの弱さの一部だった。そもそも得点のチャンスを作り出す機会が限定的で、強さは虚像にすぎなかったのである。

 当時と比べたら、今の日本代表はブラジルとも互角に渡り合える。2025年には初めて勝利も挙げている。選手ひとりひとりを見比べても、そこまで見劣りすることはなくなった。

 たとえば昨年10月のブラジル戦では、先発で中盤を組んだ鎌田大地、佐野海舟は、前半こそ受け身に回ったものの、後半はブラジルの中盤、カゼミーロとブルーノ・ギマランイスを凌駕していた。ふたりともサッカーセンスに優れ、ビジョンのよさとボールコントロール力で打開し、攻守の舵をとることができる。3-2の逆転勝利は、ふたりが中央の主導権を握ったことで生まれていた。

 今年3月のイングランド戦でも、鎌田と佐野は先発し、劣勢のなかでも堅調さが光り、1-0と敵地で金星を挙げている。三笘薫の決勝点のシーンでは、三笘が中盤で味方と守備で連係してボールを奪い返すと、鎌田が迅速にボールをつなぎ、トランジションで起点になっていた。また、佐野も際立った感覚で相手のパスをカットすると、迫力のある持ち上がりで、上田綺世のバーを叩くシュートを演出した。

 鎌田と佐野、さらに久保建英の3人は(惜しまれるのは三笘の欠場だ)、北中米ワールドカップでもキーマンになるだろう。

 しかしながら、"たかが"親善試合で勝利を収めたことに喜んでいると、玉田のゴールに歓喜した筆者と同じ報いを受けるだろう。

 日本がブラジルに初めて勝った試合にしても、前半はなす術がなかったからだ。ブラジルとの技術、駆け引きの差を見せつけられていた。後半、リードしたブラジルがギアを落としたおかげで、日本のプレスがうまくはまったにすぎない。「日本が世界を制する力をつけた」と考えるよりも「ブラジルが自滅した」と考えるほうが賢明だろう。

 勝って兜の緒を締めよ。あれから20年、日本は驕らず、高ぶらず、あらためて地に足のついた戦いをするべきだ。

日本代表・史上最強の検証(1)『サッカー日本代表は「史上最強」なのかを検証 初めてのワールドカップで挑んだ3バックと何が違うか』はこちら>>

著者プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。

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