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サッカー日本代表のワールドカップまでのチェックポイント3つ ガーナ戦快勝も先送りになった課題とは (3ページ目)

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi

【ウイングバックにDFを入れる起用も】

 ただし、後半になると、ガーナはビルドアップ時に右WBのカレブ・イレンキー(3番)が前に出て、逆サイドのWBデリック・アーサー・コーン(13番)が最終ラインに下がって"つるべ式"の4バックを形成。日本の前からのプレッシングを回避するための策を打ったこともあり、ガーナが日本陣内でプレーする時間が増加している。

 それでも、この日のガーナは最後まで攻撃の糸口を見つけられず、ボール支配率は49.3%と、ほぼ互角の数字を残したものの、決定機と言えるようなシーンを作り出すことはできなかった。シュート数も、日本の13本(枠内7本)に対し、ガーナは5本(枠内3本)に終わっている。

 もっとも、日本が自陣で守るシーンが少なかったため、自陣深い位置での両WBの守備という9月以降の強化試合で露呈した課題については、先送りとなった格好だ。

 それ以外の収穫についても、9月に対戦したメキシコとアメリカ、10月のパラグアイとブラジルと比べれば、この日のガーナの総合力が数ランク低かったことは否めなかった。それだけに、両WBにアタッカーを配置する3-4-2-1が、W杯出場国レベルの相手にどこまで通用するかは、今回の試合では確認できる要素は少なかった。

 それともうひとつ、この試合で注目しておきたいのが、後半途中から森保監督が両WBにDFを起用したことだった。68分に右WBの堂安に代わって菅原由勢が、75分の3枚代えによって鈴木が左WBに移動すると、5人のDFがピッチ上に立った。

 もちろん、2点をリードしていたことと、次のボリビア戦のスタメン編成との兼ね合いもあったはずだが、これはW杯本番でも十分に考えられる選手起用と見ていいだろう。

 この試合では確認できるようなシチュエーションは少なかったが、5人のDFを同時起用する3-4-2-1の場合、自陣で5バックになって守る時にどのような現象が起こるのか。この部分についても、本番に向けた強化試合のなかで確認すべきポイントになりそうだ。

著者プロフィール

  • 中山 淳

    中山 淳 (なかやま・あつし)

    1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)

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