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サッカー日本代表の久保建英がガーナ戦で披露「相手にダメージを与える」サッカーIQの高さ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【南野の先制点につながる何気ないプレー】

 右サイドを久保は堂安とのパス交換で前進し、堂安が左足で巻くクロスを入れると、これがヘディングでクリアされる。しかし再び押し込んで左サイドでFKを得ると、久保が蹴る。この日はCKも含めてプレースキッカーを託されていた。このキックは相手のカウンターにつながりかけるが、久保自身が蓋をし、ピンチの芽を摘み取った。また、インサイドでボールを受けると、左から攻め上がった鈴木淳之介を使い、パスが南野につながり、シュートはCKに。久保はサインプレーから南野にグラウンダーのパス、これをフリックするとエリア内で堂安がゴールを狙った。

 たった5分ほどの間にこれだけの攻撃バリエーションを見せ、相手を追い込んでいた。

 そして16分、中盤で味方が敵の縦パスを潰す。佐野が奪い取ったボールを受けた久保は、再び佐野へ迅速に丁寧に預ける。これにより佐野はスピードを落とさずに前へ運ぶことができ、南野にラストパス。南野は完璧な軌道のシュートを打ち込んだ。

「佐野選手がすばらしいですね。ボールを運んでくれると思って出しました。ファーストタッチから、"こうしてほしい"という形で持っていってくれましたね」

 久保はそのシーンをこう振り返っているが、そのパスが少しでも遅かったら、少しでもずれていたら、攻め直しになっていただろう。何気ないパスだからこそ、知性を感じさせた。タイミングと技術のディテールで勝っていた。

 その後も久保はドリブルで仕掛け、アドバンテージを作った。中盤ではボールを触って、リズムを作り出した。パスが合わない場面も少なからずあったが、積極性を失わなかった。右サイドをドリブルで攻め上がり、ラストパスは逆サイドの中村敬斗と合わなかったシーンは、ワールドカップ本大会でも得点パターンになりうる攻撃だった。

 後半に入って勝負を決めた2点目。15分という前半とほぼ同じ時間帯、久保はゴール前でボールを受けると、相手を引きつけながらタメを作っている。何度も潜り込むような仕掛けを見せていただけに、相手に飛び込ませない。そこで、右にポジションを取った堂安にパス。堂安はドリブルで相手を翻弄すると、左足でニアに打ち込み、ネットを揺らした。

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