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サッカー日本代表に敗れて信頼失墜のアンチェロッティ ロマーリオ「開いた口が塞がらない」 (4ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【状況は一気に厳しくなった】

 韓国戦で自分たちは何でもできるという気持ちになっていただけに、この急展開はブラジルの選手のメンタルを直撃した。試合後のヴィニシウス・ジュニオールの呆気にとられた表情がすべてを物語っている。

 私は日本に感謝したい。こんなやり方ではダメなことをアンチェロッティに教えてくれたからだ。今回、もし日本に勝っていたなら、勘違いはワールドカップ本番まで持ち越されてしまっていたかもしれない。

 アンチェロッティはまだポルトガル語を十分にしゃべれないが、サポート役としてブラジル人の手を借りようとはしない。ジーコ、ドゥンガ、カフー、カカ......彼らはもちろんブラジルのことをよく知っているし、アンチェロッティの母国語のイタリア語も話せる。アンチェロッティが望めばセレソンの復活に喜んで手を貸すはずだ。今回の出来事で、アンチェロッティが再考してくれることを願う。

 率直に言って、私はアンチェロッティをすでにキャリアの終わりに近い監督だと感じている。レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長はそれをわかっていたから、引き留めなかったのではないか。もうヨーロッパの十指に入る監督ではないのかもしれない。

 ただし、アンチェロッティは世界の代表監督のなかで一番の高給をもらっている。それを森保一が叩きのめしたのだ。森保監督は幸運だ。彼はすばらしい選手を擁している。今の選手たちは、ブラジル人が知るカズ(三浦知良)や中田英寿よりも上だと思う。

 ただ、繰り返しになるが、日本もこの試合で勘違いしてはいけない。日本の勝利の喜びに水を差す気はないが、もしブラジルがベストメンバーをそろえていたら、まったく別のストーリーになっていた可能性がある。まあ、何につけ慎重な日本人にとって、それは杞憂にすぎないだろうが。

 いずれにせよ、アンチェロッティにとって状況は一気に厳しくなった。

「アンチェロッティはレアル・マドリードの選手を長くプレーさせなかった。それはなぜだ?」(サンパウロの日刊紙『O Estado de Sao Paulo』)

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