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サッカー日本代表に敗れて信頼失墜のアンチェロッティ ロマーリオ「開いた口が塞がらない」 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【アンチェロッティは理解していない】

 しかし、アンチェロッティは韓国戦からスタメンを8人も変えた。ロドリゴ、マテウス・クーニャ、エデル・ミリトンといった中心選手がスタメンから外れた。それどころか後半にはヴィニシウス・ジュニオール、ガブリエウ・マルティネッリ、ブルーノ・ギマランイスも下げてしまった。

 残ったのはこれまで代表で一度も一緒にプレーしたことのない選手たち。アンチェロッティが見つけてきたカルロス・アウグストやGKのウーゴ・ソウザなどはブラジル人も知らない選手だ。また、ファブリシオ・ブルーノはミスの連発で日本の得点を助け、SNSでは彼がサムライブルーのユニホームを着た画像が出回っている。74分、日本に逆転されたあとにリシャルリソンを入れたのも謎だった。今季まだリーグ戦3得点で評判を落としている選手を、なぜこんな重要な局面で入れるのか理解できない。後半に3点入れられたチームは、ブラジルの2軍ですらなかった。

 日本は歴史上、初めてブラジルに勝った。しかし、相手は本当のブラジルではなかった。日本のチームにとってもサポーターに対しても失礼なことだ。日本はいいチームだった。いつものように真面目で、組織立ち、運動量もある。モチベーションも高かった。だが、ブラジルが最高の選手を揃えていたら、初勝利はまだ先のことだっただろう。

 日本はやるべきことをした。5人で守り、日本のバリアを抜け出そうとするブラジルをしっかりと抑えた。特に鈴木淳之介のプロフェッショナルで質の高いプレーには、多くのブラジル人が称賛を送り、「あれは誰だ!」と話題になっていた。堂安律は相変わらず危険な選手だし、鎌田大地の動きもインテリジェンスがあった。久保建英はもちろん、中村敬斗も上田綺世もいい選手だ。

 しかし、だからブラジルが敗れたというわけではない。

 結局、アンチェロッティはブラジルのことを何もわかっていないのだろう。ブラジルのサッカーも、ブラジルにどんな選手がいるのかも知らない。知っているのはレアル・マドリードの選手ぐらいだ。そして、ブラジル人にとってメンタルの持ちようがどれだけ大事なことなのかを理解してはいなかった。

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