検索

サッカー日本代表に敗れて信頼失墜のアンチェロッティ ロマーリオ「開いた口が塞がらない」 (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

【日本を圧倒すべきだった】

 アンチェロッティ・ブラジルには時間がなかった。この試合のあとに公式戦はなく、今のところ来年のワールドカップまでにふたつの親善試合が決まっているだけだ。だからアンチェロッティがこのアジアツアーで多くの選手を試したいと思うのは当然だろう。つまり日本戦はテストだった。

 多くの選手を試してみるのは大事なことだ。だが――それをこの日本戦でやってはいけなかった。おそらく日本は、アンチェロッティがブラジルのベンチに座ってから一番強い対戦相手だった。ここまでワールドカップ予選ではエクアドル、パラグアイ、チリ、ボリビアと戦い、そして親善試合の韓国戦があった。だが、ワールドカップの常連国であり、世界で最初にワールドカップ行きの切符を手にした日本が最強だろう。だからこそテストすべきは、この相手、このタイミングではなかった。

 繰り返すが、いろいろな選手を使ってみることが大事だ。しかし、今のブラジルにとってはもうひとつ重要なことがあった。それは「恐れ」を払しょくし、自信を取り戻すことだ。

 ここ最近のブラジルはネガティブな出来事の連続だった。2026年ワールドカップ南米予選では史上最低の5位で、出場チーム数が増えていなかったら出場権を逃す危険さえあった。18試合で過去最大の17失点、ライバル・アルゼンチンには0-4という大敗を喫した。サッカー王国としてのブラジルのプライドはズタズタで、選手はボールを持つことに恐れを抱いていた。

 だが、韓国戦に大勝し、いかにもブラジルらしいプレーをして笑顔を取り戻した。だからこそブラジルの未来は明るいとも書いた。今、何よりも大事なのは、この自信をより強固にすることだった。ブラジルは日本に全力でぶつかり、圧倒し、その強さを証明すべきだった。アジア最強のチームに勝つことは、ブラジルの自信をより深めたことだろう。そしてメンタル面において、ワールドカップへの重要なステップとなったはずだ。

2 / 5

キーワード

このページのトップに戻る