サッカー日本代表はパラグアイに勝てなければ「失敗」 三笘薫、遠藤航不在は言い訳にならない (3ページ目)
結局のところ、森保監督は4バックでなく、3バックをファーストオプションにしているのだろう。右SBの菅原由勢を選外にし、いわゆる左SBも選んでいない。選出したのはCBが多く、ウイングバックを用いながら、メキシコ戦、アメリカ戦で機能しなかった3バックを続ける公算が高い。4バックにして長友佑都を左センターバックで起用するような"奇策"は自滅の道か。
一方、ブラジル戦は劣勢が予想される。ブラジル陣営のモチベーションやコンディションが未知数だし、テストマッチでは番狂わせが起こり得る戦力差だが、ここは相手が格上だろう。単純にヴィニシウス・ジュニオールのドリブル突破を右サイドで誰が止めるのか。4バックでもSBが受け身になると厳しく、5バックにした場合、守りは分厚くなるが、そのぶん得点の可能性は低くなる。
ブラジル戦、森保監督は5-4-1にして守りを固めるだろう。"弱者の兵法"により相手の嫌がるプレーをすることでしのぎ、カウンターに活路を見出す。カタールワールドカップはそれが功を奏した。鎌田のような選手が流れをつくるのに賭けた戦いになったが、結局、そこから脱却できていないところに森保ジャパンの限界はあるのだ。
ワールドカップベスト8という現実的な目標をクリアできるか。その指標となる南米勢との連戦になる。本番でラウンド16の相手がパラグアイだったらむしろラッキーで、今回、ホームで引き分ければ負け同然だ。そしてブラジルを相手には、弱者の兵法で負けを回避できるか、もしくは、どこまで真っ向勝負ができるか。
主力不在はエクスキューズにならない。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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