サッカー日本代表で初アシストの三戸舜介「充実した10日間。久保くんは本当に存在するんだ」
北中米ワールドカップ・アジア最終予選のラストゲーム、日本代表はホーム開催のインドネシア戦で6-0の快勝劇を見せた。
梅雨入りの報がもたらされ、雨が降ったり止んだり、寒いのか暑いのかよくわからないがとにかく湿度の高いコンディションのなか、次々に得点が決まる試合は大いに盛り上がった。
また、インドネシアサポーターの応援はここ最近のアウェーチームのなかで特に熱く、その熱気につられるかのようにスタジアム全体の興奮度も上がった。日本にしてみれば、オーストラリアでの敗戦を払拭するような勝利で「最終予選は美しくまとまった」とも言える試合だった。
三戸舜介は初先発でいきなりアシストを決めた photo by Sano Mikiこの記事に関連する写真を見る すでにプレーオフ進出を決めているインドネシアだが、日本と比較すると明らかな格下。そのため戦いを終えた日本人選手たちから受けた印象は、勝ちきった充実感や高揚感、喜びよりも、ただ連戦を終えたリラックス感が上回っていた。
試合に入る前も、大一番のそれとはちょっと違ったようだ。たとえば、三戸舜介は代表初先発を知った時、努めて平常心を心がけたという。
「これが最後の代表にならないように......という気持ちで、自分のできること、特徴を出しいけたら、というふうに思っていました」
この日、初アシストを記録しても、テンションはそのまま。
「ここでアシストできたから、今後の代表にちょっと関われるかって言われたら、そうではないと思っています。チームでレベルアップしていかないといけないし、今のままではたぶん呼ばれない。なので、ワールドカップに近づいたな、というふうにも感じていないです」
文字にしてみると、なかなか危機感たっぷりのようにも見える。だが、表情はいたってにこやかに話していた。若手が多く招集されてチャンスが与えられた6月シリーズであったことと、相手との力関係に拍子抜けしたような、そんな感じだった。
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著者プロフィール
了戒美子 (りょうかい・よしこ)
1975年生まれ、埼玉県出身。2001年サッカー取材を開始し、サッカーW杯は南アフリカ大会から、夏季五輪は北京大会から現地取材。現在はドイツを拠点に、日本人選手を中心に欧州サッカーを取材中。著書『内田篤人 悲痛と希望の3144日』(講談社)。