サッカー日本代表の3バックシステムがどんどん弱くなっていく 森保一監督は対策をしないのか? (4ページ目)
【森保監督は対策を用意しないのか】
ただ、勝利したとはいえ、日本の3バックシステムに潜む構造的な問題は見落とせない。昨年11月のインドネシア戦では今回のように個の力で、中国戦ではセットプレーによって勝ち点3を手にしたが、いずれも相手の対策に苦しみ、3次予選序盤のような戦術的機能性を発揮できなくなっているからだ。
最大の問題は、3バックの両脇を使われる相手の速攻に脆弱な点と、両WBにアタッカーを配置しながら、守備時に5バックで構える時間が長くなっている点だ。特に格下相手の試合では最も攻撃性を高められる布陣であるにもかかわらず、肝心の両WBが自陣で守るのであれば、この布陣を採用する意味はない。
当然だが、相手のレベルが上がれば、両WBを務めるアタッカーがDFラインの大外で守備を強いられる時間はさらに長くなるのは明らかで、それなら最初から両WBにDFを配置するのが理論的という話になってしまう。
確かにアジアカップで破綻した4バックを諦め、攻撃的3バックに移行したことが今予選のロケットスタートにつながったのは間違いない。しかし相手も日本の戦い方を研究し、今回のバーレーンのように、2度目の対戦ではより効果的な対策を講じられて戦術的機能不全に陥る試合が続いているのも事実。気づけば、攻撃的であるはずの3バックシステムは、守備的とも言えない中途半端な3バックシステムと化してしまった。
果たして、森保監督はこの矛盾をどのように解決していくのか。対策の対策も用意せず、現状のままの戦術で臨むとすれば、おそらく次のサウジアラビア戦は今回以上に厳しい戦いを強いられそうだ。
著者プロフィール
中山 淳 (なかやま・あつし)
1970年生まれ、山梨県出身。月刊「ワールドサッカーグラフィック」誌編集部勤務、同誌編集長を経て独立。スポーツ関連の出版物やデジタルコンテンツの企画制作を行なうほか、サッカーおよびスポーツメディアに執筆。サッカー中継の解説、サッカー関連番組にも出演する。近著『Jリーグを使ってみませんか? 地域に笑顔を増やす驚きの活動例』(ベースボール・マガジン社)
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