日本代表・森保一監督のサッカー観 「裏を突いてボールを奪うのが好き。僕は性格が、かなり悪いのです」 (5ページ目)
【1-0で勝つチームに強さを感じる】
── 偶然ではなく意図的に、必然的に、1-0で勝てるチームは強い、ということですね。
「1-0で勝つのが守備的かどうかはケース・バイ・ケースでしょうが、僕が言いたいのはメンタリティです。1-0で勝つのはめちゃくちゃキツい。どんな試合でも『やられても仕方がない』という場面はあるもので、精神的に守りに入らずにそのまま押しきるにしても、割りきって守りきるにしても、キツいものです」
── どの時間帯でリードをするかによっても、メンタリティや戦い方は変わってくるのでしょうが。
「2点目を取ってリードを広げて勝つ、1-0のままでも自分たちが押しきって勝つのは理想でしょうが、押されているようで実は優位に試合を運んで、最後まで1-0で持っていくようなチームに、僕は強さを感じるのです。
現役当時に鹿島アントラーズと対戦していて、自分たちはやれている感覚があるのだけど、終わってみたら負けていた......ということがあって。それから、アントニオ・コンテが監督をやっていた当時のユベントスは大好きでした。クオリティを持った選手たちがハードワークしまくって、1-0で勝つ。相手が来たら2-0へ持っていく。それは自分の好きなサッカーですね」
── コンテのユベントスはセリエAで3連覇を達成しましたからね。試合運びに巧さを感じさせました。駆け引きに優れている、というか。
「サッカーは駆け引きの連続じゃないですか? なので、現役当時は相手の狙いとか意図を考えて、その裏を突いてボールを奪うとか、試合を進めるとかが好きでした。僕は性格が悪いのです。かなり悪いのです(笑)」
── いえいえ(笑)。ボランチならではの思考でしょう。
「相手との精神的な駆け引きは、面白いところがありますね」
── 代表監督としても、駆け引きをしていますね。
「それはもう、試合前から始まっています。相手を分析するじゃないですか。直近の3試合、5試合の傾向をつかんで、こうだったからこうしようと準備をする。
でも、相手も自分たちを分析してくることはお互いに織り込み済みで、前節までと同じ流れでくるのか、何かを変えてくるのかという駆け引きがある。それによってプランA、プランB、プランCと、どんどん手を打っていかないといけないので」
5 / 6