サッカー日本代表の「予選独走」から思い出す過去の惨敗 ザックジャパンが陥った迷走状態 (3ページ目)
結果的に、前記した主力メンバー11人のうち、前田を除く10人はワールドカップに選ばれているのだから、ザッケローニ監督在任期間を俯瞰すれば、主力の顔ぶれはほぼ変わらなかったことになる。
それ自体にも問題はあった(吉田、内田、長谷部が相次いでケガで長期離脱となり、ギリギリでワールドカップに間に合わせた)が、裏を返せば、前田だけが外れたという事実にも、混迷の様子が表われている。
ワールドカップの登録メンバーに、最終予選にはまったく出場していないFWが4人(大久保嘉人、柿谷曜一朗、齋藤学、大迫勇也)も加わることになったことは、新戦力の発掘が進んだというより、確たる戦い方が定まらなかった結果と見るべきだろう。
最終予選で悠々と首位を独走する一方で、ピッチに立つ選手の顔ぶれは代わり映えがしない――そんな現在の日本代表を見ていると、老婆心ながら、10年以上も前の出来事が重なって見えてしまうのである。
著者プロフィール
浅田真樹 (あさだ・まさき)
フリーライター。1967年生まれ、新潟県出身。サッカーのW杯取材は1994年アメリカ大会以来、2022年カタール大会で8回目。夏季五輪取材は1996年アトランタ大会以来、2020年東京大会で7回目。その他、育成年代の大会でも、U-20W杯は9大会、U-17W杯は8大会を取材している。現在、webスポルティーバをはじめとするウェブサイトの他、スポーツ総合誌、サッカー専門誌などに寄稿している。
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