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サッカー日本代表の「予選独走」から思い出す過去の惨敗 ザックジャパンが陥った迷走状態 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

【本大会の1年前に潮目が変わった】

 日本がワールドカップ出場を決めるまでの最終予選7試合の主力メンバーを見れば、そのことは明らかだ(カッコ内の数字は、最終予選7試合のうち先発出場した試合数)。

GK:川島永嗣(7)
DF:今野泰幸(6)、長友佑都(6)、内田篤人(6)、吉田麻也(6)
MF:遠藤保仁(7)、長谷部誠(7)、本田圭佑(6)、香川真司(5)
FW:前田遼一(7)、岡崎慎司(7)

 5試合以上に先発出場した選手だけで11人。つまり、最終予選を通して、ほとんど先発メンバーの顔ぶれが変わることがなかったことを意味している。

 その11人全員がアジアカップの優勝メンバーであり、吉田、香川、前田を除く8人が、前回ワールドカップの登録メンバーでもあったわけだ。

 南アフリカ大会を経験した若手がヨーロッパへ渡り、選手個々が成長。そんな選手たちで固められたチームが練度は高めることで、強くなっていったのは間違いないが、次第にそのツケが表出してくることになる。

 潮目が変わったのは、2013年コンフェデレーションズカップである。

 アジアカップ王者として、意気揚々とワールドカップの前哨戦に挑んだ日本は、しかし、3戦全敗で終戦。ブラジル、イタリア、メキシコという強豪国ばかりとの対戦だったとはいえ、衝撃的な結果だった。

 日本代表はここから試行錯誤、いや、実質的には迷走を始めるようになる。

 チームは、ザッケローニ監督によって確かに規律と効率性を高めた。だが、それによって自信を得た選手たちは、だからこそ現状に限界や物足りなさを感じてしまう。

 そんな選手たちがよりポゼッション重視のスタイルを求めるようになった結果、チームは進むべき道を見失ってしまったのである。

 バランスを失ったチームは、ボールを保持していても効果的な攻撃が少なく、得点ができないばかりか、ミスから失点が増加。停滞感が漂う試合が目立つようになっていく。

 結局、劇的な変化が見られないままに迎えた2014年ワールドカップでは、2敗1分けでグループステージ敗退。最後の試合は、コロンビアに大量4失点を喫しての惨敗だった。

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