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なでしこジャパンの要・長野風花がリバプールで感じる成長への突破口「いい意味での図々しさ」とは? (2ページ目)

  • 早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko

【なでしこジャパンで感じたボールを持つ重要性】

 選手の色で言えば、長野の相棒である長谷川唯も含めて、すでに確立されてはいる。あとはそれをいかに爆発させられるかだろう。長野は中盤の選手としてどう戦いたいのか。新生なでしこジャパンは、マンチェスター・シティ女子チームのテクニカルダイレクターを務めていた、イングランド女子スーパーリーグを熟知するニルス・ニールセン監督が指揮を執る。その始動の前の今は、唯一堂々と自分の理想を語れる時期でもある。

「確かに! 今しかない(笑)。でも......私はいい意味でこだわりがないんです。速い選手がいれば裏に蹴るのも全然アリだと思うし、絶対にポゼッションがしたいわけでもない。ただ、私はどんなスタイルにも合わせてみせる。パリオリンピックで感じたのは、ポゼッションがしたいというのではなく、もっとボールを持たないとチャンスが作れないってことでした。

 もちろんカウンターでいい場面を作れた時もあったけど、やっぱりそれだけじゃ世界を獲るには足りない。きれいなサッカーがしたいというんじゃなくて、チャンスを多く作るためにもうちょっとボールを持ちながらでないとダメだと。そういうサッカーがしたいなって思います」

 金メダルのアメリカに対しても、決してワンサイドではなかった。劣勢のなかから好機を生み出したことからも、理想へのかけらは拾えているのではないだろうか。

「私たちはあの粘り強い守備とか、規律を守って戦うことはすごくできると思ったので、あとは攻撃でボールを握ることができれば戦えるんじゃないかなとは思っています。だからこそ......ボール持ちたいな(超小声)」

 最後のひと言は小声すぎて、聞き落としそうになった。何度も言葉に出てくる "ボールを持つ"重要性。それが身に染みたオリンピックだったことがうかがえる。

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