サッカー日本代表にとって「狭いピッチ」は不利だったのか 佐藤寿人がアウェーで感じた利点とは? (4ページ目)
【日本の目指す場所は、もはや別のところ】
実は試合後に、中国のメディアから急にインタビューを受けることになりました。
「なぜ、日本のサッカーはこれほど進歩したのか。これから中国がよくなるようなアドバイスをしてほしい」と聞かれたので、僕はこう答えました。「中国はすぐに目先の結果をほしがるけど、日本は長い時間をかけて育成システムを作ってきたからだ」と。
彼らの望んだ答えではなかったかもしれないけど、確かな育成システムが日本サッカーの発展を導いたのは間違いありません。若くして台頭し、ヨーロッパへと羽ばたいた今の日本代表の選手たちが、それを証明していると思っています。
中国戦に勝利したことで、日本は5勝1分と無敗を守り、次節にもワールドカップ出場が決まる状況となりました。
前回のカタール大会の予選ではスタートでつまづき険しい道のりとなりましたし、過去の大会でも最終予選は往々にして苦しんでいます。今回は枠が広がったことでこれまでよりもラクになるんじゃないかと言われていますけど、ほかのグループであったり、日本と同じグループの2位争いを見ても、どこが勝ってもおかしくない状況になっています。
ほかの国がレベルアップしたことで、これまで強豪と言われた国でも簡単には勝てなくなっています。それでも日本はそれ以上のレベルアップを遂げ、アジアでは図抜けた存在となりつつあります。ここまでの最終予選を見るかぎり、「日本の目指している場所は、もはや別のところにあるんだ」ということをあらためて感じています。
【profile】
佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重71kg。
著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。
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