サッカー日本代表3バックシステムを福田正博が考察「ポイントはウイングバックの縦への意識」 (4ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【3バックなら根幹を大きく変えることなく強化できる】

 これまで日本代表は、アジア予選とW杯本大会で戦い方を大きく変えなければならない問題があった。2022年カタールW杯の予選は4-2-3-1や4-3-3で戦ったが、本大会では5バック的な3バックに変更した。ダブルスタンダードの問題はいまもあるものの、なるべくならW杯での強豪国との対戦を見据えてアジアを勝ち上がるほうが、一貫性のある代表強化につながる。

 3バックなら日本代表の根幹を大きく変えることなく、対戦相手の力量と選手の特徴に応じて選手を入れ替えられるメリットがある。たとえば、カタールW杯で長友佑都を左ウイングバックにスタメンに起用して守備的に臨み、途中からそこに三笘薫を投入して勝負に出るといったような采配だ。

 さらに、いまの日本代表選手たちのレベルやクオリティーを考えれば、3バックで臨んだけれど試合状況に応じて、選手交代をせずに4バックに変更するといったことも可能になるはずだ。

 そのバリエーションと精度を高めていくためには、実戦のなかでさまざまな戦い方を試してもらいたい。そうした状況を早くつくるためにも、日本代表には12得点0失点という圧倒的な強さを発揮した9月シリーズのような結果を、10月シリーズの2試合でも期待している。

著者プロフィール

  • 福田正博

    福田正博 (ふくだ・まさひろ)

    1966年12月27日生まれ。神奈川県出身。中央大学卒業後、1989年に三菱(現浦和レッズ)に入団。Jリーグスタート時から浦和の中心選手として活躍した「ミスター・レッズ」。1995年に50試合で32ゴールを挙げ、日本人初のJリーグ得点王。Jリーグ通算228試合、93得点。日本代表では、45試合で9ゴールを記録。2002年に現役引退後、解説者として各種メディアで活動。2008~10年は浦和のコーチも務めている。

【画像】サッカー日本代表 識者たちが考察したアジア最終予選のベスト布陣

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