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サッカー日本代表3バックシステムを福田正博が考察「ポイントはウイングバックの縦への意識」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro

【ウイングバックで重要なのは縦突破】

 この点で言えば、左サイドは何の心配もない。三笘は縦を突いたり、中央に切れ込んだりのバランスが実にいい。また、ボールを受けてもそのすべてで勝負に行くわけではなく、すぐに後ろの味方に戻したりもする。対峙するDFにとっては狙いが絞れずに、つねに後手を踏まされている感じを覚えるはずだ。

 これまでなら三笘薫が不在の時に、独力でサイドを突破できる代役がいない点に不安があった。前田大然はスピードがあって守備への貢献度も高いが、独力でサイドを崩すタイプではないからだ。それが9月シリーズの中村敬斗のプレーを見て、不安は払拭された。以前までの中村敬斗は中央に切れ込んでシュートに持ち込むプレーがほとんどだったが、バーレーン戦では見違えるように何度も縦を突いたからだ。

 サイドの選手にとって重要なのは、プレーのファーストチョイスで縦への突破を意識することにある。縦方向への突破で相手DFラインが下がり、ゴール前にいる味方が使えるスペースが生まれるからだ。そうして相手に縦をケアする意識を植えつけたところで、中央にも切れ込む。すると、相手の対応が後手を踏み、結果的に中村敬斗のようなカットインからのシュート力が生きるのだ。

 もう一方の右サイドは、縦への突破力が抜群の伊東純也の日本代表復帰は大きい反面、堂安のプレーには不安が残った。

 堂安は9月シリーズで2試合ともスタメン出場し、中国戦では2シャドーの一角の久保とポジションチェンジすることで存在感を発揮した。久保が右サイドに流れて縦突破を仕掛けたことで、堂安は得意なゴール前でのプレーができた。

 だが、2シャドーが南野と鎌田だったバーレーン戦では、ゲームから消えてしまっていた。縦突破を相手DFに意識づけできず、中央に切り込んでばかりだったため、相手DFは対応しやすくなり、結果的に右サイドからの攻撃は機能しなかった。

 中央に切れ込むプレーをファーストチョイスにしても、4バックなら右SBがオーバーラップを仕掛けられれば相手のDFラインを押し下げることができる。しかし、3バックではオーバーラップする右SBはいない。そのためウイングバックには縦への意識が強く求められるのだ。それだけに今後堂安が右のウイングバックで、その役割をしっかり発揮してくれることを期待している。

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